コロナウイルスに関するCleamix社とのインタビュー

Biodescontaminación con peróxido de hidrógeno vaporizado
Janice Bennett-Livingston
マーケティングマネージャー
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ライフサイエンス

今回はCleamix社の Panu Wilska氏にインタビューを行い、コロナウイルスの大流行に伴って韓国の疾病管理本部のバイオセーフティ研究所で最近実施された除染作業についてお話を伺いました。以下は、編集済みの書き起こしです。

[00:00:06] ヴァイサラ:本日はポータブル過酸化水素蒸気発生器メーカー Cleamix の CEOであるPanu Wilska氏にお話を伺っていきます。Panu さん、ようこそ。Cleamixの製品と提供されているサービスについて少し教えていただけますか。

[00:00:25] Cleamix社: ありがとうございます。Cleamixは病室、救急車、車両などを除染する際に使用される過酸化水素蒸気発生器を製造しています。当社は市場最小の製品を扱っています。この過酸化水素蒸気発生器には、周囲条件の全モニタリング機能が備わっているのです。これはヴァイサラの HPP270 シリーズ過酸化水素プローブにより実現しました。このプローブのおかげで、[当社の機器を使用する]ユーザーが機器表面に過度の結露を発生させてしまうおそれがなくなります。

現在、Cleamix社の業務は増加しています。新しい会社ではありますが、既にすべての大陸に拠点を構えています。南極にはありませんが、それ以外はすべてです。現在も複数のグローバルな代理店を検討しており、[当社の代理店]リストには毎週新しい国の代理店が追加されています。当社のウェブサイトに掲載されているパートナーリストを最新にする必要がありますね。

当社の除染ソリューションは、2つの素晴らしいイノベーションを組み合わせています。1つは過酸化水素を蒸発させるために当社が開発した新しい方法で、もう1つはヴァイサラの最新鋭の過酸化水素蒸気センサです。このセンサには当社に必要なパラメータがすべて揃っています。これまでは、これらすべてのデータを一度に計測することはできませんでした。

[00:02:39] ヴァイサラ:Cleamix社はHPP272を使用してH2O2蒸気、温度、相対湿度、相対水分飽和度を計測していますよね。相対水分飽和度の値の重要性について、少し教えていただけますか。

[00:02:55] Cleamix社:相対水分飽和度は特に過酸化水素蒸気で重要となります。相対湿度では水蒸気の凝縮点しかわからないためです。過酸化水素は水よりも20倍凝縮しやすい物質です。そのため、除染に過酸化水素蒸気を使用する際にその凝縮点を把握するには、水と過酸化水素の両方の飽和度を把握する必要があります。

たとえば、相対湿度が60%である場合、過酸化水素蒸気を使用した除染サイクル中の相対水分飽和度は100%近くになります。ご存じのとおり、過酸化水素が凝縮すると表面を損傷するおそれがあります。蒸気は表面を損傷することなく、微生物を死滅させることができます。ただし、これが凝縮してしまうと、電子機器や繊細な素材に深刻な問題が発生する可能性があります。

ヴァイサラ HPP270 シリーズプローブを使用すれば、相対湿度と相対水分飽和度の両方の値を確認できます。相対水分飽和度の値は、蒸気内の過酸化水素と水の組み合わせを示します。ヴァイサラのプローブは当社の蒸気発生器にフィードバックを自動で送信するため、ユーザーがプログラムパラメータを入力した場合でも結露が発生する可能性があります。Cleamix社の機器では結露は許容されないため、自動保護機能が作動します。これはリアルタイムのセンサデータによって、プロセスのパラメータがリアルタイムで調整される市場で唯一の機器なのです。

[00:04:52] ヴァイサラ: HPP272 プローブをCleamix社の蒸気発生器に組み込んでいるのですか。

[00:05:00] Cleamix:組み込んでいるわけではなく、[プローブを]接続しています。センサは実際のデバイスからできるだけ距離を取って設置しています。当社の機器の蒸気出力量がきわめて高いためです。センサを蒸気発生器に近づけすぎると、空気循環が適切な場合でも濃度値が高くなりすぎる可能性があります。標準のケーブル長は約1.5mだったと思うのですが、さらに長いケーブルを希望されるお客様もいらっしゃいます。そのため、センサ自体はケーブルの長さが許す限り、機器から離すことができます。それでも、センサがプロセス制御の一部として動作するという意味では、組み込まれているとも言えます。

[00:05:50] ヴァイサラ:最近、韓国の疾病管理本部を訪問され、バイオセーフティ研究所で除染作業を実施されましたよね。そのことについて少し教えていただけますか。

[00:06:03] Cleamix社:はい、これはCleamix社にとっても私個人にとっても非常に有益な経験となりました。バイオセーフティレベル2と3の研究所があるのですが、このような研究所は頻繁に除染する必要があります。SARS、MERS、コロナウイルスといった、非常に危険な病原体を扱っているためです。流行していなくても、職場環境を安全に保つために頻繁に除染を行う必要があるのです。また、[前のプロセスから残留した]何かによって、分析を待つ対象物が汚染されないようにする必要もあります。

最近、韓国のCDCで作業を実施した際には、複数のつながった部屋がありました。これらの部屋は廊下でつながっており、入退室時にはエアロックを使用するほか、倉庫もいくつかありました。除染を実施するにあたり、当社は1台のプロセス制御システムを使用して、4台のCleamix 蒸気発生器をネットワーク接続しました。

発生器をネットワーク接続するために、1台の発生器を使用して、ネットワーク接続されている複数の機器のプロセスを制御したのです。研究所[の除染]は、5回に分けて実施しました。その際に、エリアの大きさに基づいてセグメントを作成しました。まず、別の研究所の除染を実施したのですが、これは3回に分けて実施しました。エリアを3つの均等な大きさに分け、1つの部屋に1 台[の蒸気発生器]を設置しました。除染の結果は良好でした。6logの死滅、つまり 99.9999%の死滅に必要な処置時間は1時間15分でした。6logの死滅は後で生物指標によって確認されたものです。

翌日に研究所の別の部分を除染する際、この部分を2つのセグメントに分けました。この場合も、1セグメントあたり約1時間15分と、実施時間はほぼ同じでした。これにより、研究所という状況下であれば、1台の機器で処置できる広さを増やしても短時間で済むことがわかりました。

これは非常に興味深い結果でした。というのも、この研究所は以前、他の機器を使用して除染を実施したのですが、この機器はプロセス時に表面に結露が発生するタイプだったようです。これは研究所の環境であれば問題ありません。しかし、影響を受けやすい素材がある環境下では許容できません。

この別の機器を使用したとき、作業が完了するのに丸4日必要だったそうです。一方、当社は同じ作業を2営業日で達成できました。通常の業務時間外で準備などは行っていません。つまり、合計16時間で準備や解体を含むすべての作業を実施できたのです。前のベンダーでは、すべての作業を終えるのに96時間かかったようです。

[00:09:32] ヴァイサラ:今回の状況では何か違いはありましたか。 今の事例は最近の出来事だと思うのですが、加えて2つお伺いさせてください。1 つ目のは、なぜ Cleamix社が韓国で作業を実施することになったのか、2 つ目は、今回の除染作業において他の状況と何か違う点はあったのかということをお聞きしたいです。

[00:09:50] Cleamix社:私にとって"深刻な"除染対象に対処するのが初めての体験でした。つまり、現場作業の経験が多くありましたが、保護マスクやカバーオールなどの完全装備をして、BSL 3の研究所に存在し得るあらゆるものから自分を保護できる状態で臨んだのは初めてでした。個人的に興味深い経験となりました。原子力発電所での作業は慣れていましたが、今回の施設は高汚染エリアに相当するような状況でした。

当社が作業することになった理由は、韓国にBioAll Labsという優秀なパートナーがいたためです。BioAll Labsは韓国におけるCleamixの代理店で、除染サービスも実施しています。そのため、BioAll Labsのサービスチームが主要スタッフの除染トレーニングを行う際のサポートを行うために訪問したのです。今回の訪問では、さまざまな政府施設も訪れました。

今回はデモではなく、営利プロジェクトでした。KCDCは迅速な除染が必要な場合[にそれが可能であること]を知り、非常に興味を持たれていました。それまで96時間かかっていた作業が16時間で完了したことに、彼らは喜びを隠しきれませんでした。今回が初めての訪問でしたが、KCDCのエリアを把握できた今であれば、同じ作業を簡単に1日で完了できると確信しています。すべては準備、計画、そしてそのエリアにおける機器の動作方法についての基準の有無次第です。

韓国でのコロナウイルスへの対応は、流行時の対処方法について、世界各国にとっても良い例となりました。韓国がどのように対処したのかをしっかりと研究する必要があります。これで、非常に短時間で研究所の除染を行う方法がわかったのですから。

[00:12:28] ヴァイサラ:流行に対処するうえでの韓国の強みの1つとして、対応の早さが挙げられそうですね。それがCleamix社やその代理店が連絡を受けた理由の一部だと思われますか。

[00:12:45] Cleamix社:はい。市場で利用可能な最善策を実施すべきことをおそらくご存じだったのだと思います。そのため、当社に声がかかったのでしょう。コロナウイルスに対する韓国の対応を見てみた場合、非常に効果的に検査や準備を実施しただけでなく、きわめて効率的に感染経路を追跡できていたと思います。ウイルスにさらされている可能性があるすべての人を特定し、効果的に隔離したのです。これにより、一般の人々の安全が確保されました。

1 つ例を紹介しますね。韓国から帰国してから数週間経ちましたが、もしこの地域のバスを利用していれば、コロナの感染者がこの特定の時間にバスに乗ったため、すぐに検査を受けるようにと通知するメッセージが[私の韓国のスマートフォンのアプリには]依然として表示されます。このようなレベルにまで達しているのです。もし、検査でコロナの陽性と判明した人と同じレストランにいた場合、SMSを通じてアプリから通知を受け取ることができます。地図もあり、検査で陽性と判明した人と同じ場所に自分がいた場合、すぐに検査を受けることができるのです。

[00:14:11] ヴァイサラ:それは素晴らしいですね。

[00:14:12] Cleamix社:世界各国は韓国がどのように対処したのかをしっかりと研究する必要があります。

[00:14:20] ヴァイサラ:素晴らしい意見です。今後は除染がますます重要になってくると予測されていますか。バイオセーフティ研究所ではもちろん常に重要だと思うのですが、その他の場合でも広く使用されるようになるとお考えですか。

[00:14:41] Cleamix社:はい、間違いなく。これはまさにCleamix社のウェブセミナーで話していた内容の 1 つです。コロナウイルスが空気感染する可能性についてお話ししたのです。エアロゾルとして長い距離を浮遊して感染するおそれがあると。もしそうであれば、推奨されている2mの距離では防ぎきれません。食料品店に行くだけでコロナウイルスにさらされる可能性がある状況に備えておく必要があるのです。他の人々から5m離れていても伝染するおそれがあります。

そのような可能性があるということを政府が認めるまでには時間がかかりそうです。この空気感染という要因を考慮すれば、公共交通機関、バス、電車などを頻繁に除染する必要があります。もしこのウイルスが空気感染する場合、表面にも付着するということです。たとえば、ダイヤモンド・プリンセスクルーズ船では、最後の乗客が下船してから17日後もコロナが見つかりました。つまり、表面で生き続けるということです。このウイルスが空気でも感染するとすれば、どこにでも存在する可能性があるのです。

そのエリアを安全で無菌にできる唯一の方法が、ガスを使用して除染を実施することです。そして過酸化水素蒸気は、毒性のある残留物を残さない唯一の方法です。表面に対しても安全であるほか、セットアップや管理も比較的簡単です。Cleamix社のデバイスでは、複数のデバイスをネットワーク接続し、無制限の大きさのエリアで処置を実施できます。

[00:16:57] ヴァイサラ:本日はお話を伺うことができ、嬉しく思います。お時間いただきありがとうございました。この時期に非常に重要なお話を伺いました。頑張ってください。

[00:17:15] Cleamix社:ありがとうございます。ヴァイサラは非常に大きな力となってくれています。現在は、通常であれば処分されてしまう、使用済みの保護マスクやカバーオールなどを除染する方法を模索しています。再利用が必要な場合があるかもしれないためです。

飽和点を制御できるヴァイサラの HPP270 シリーズセンサのおかげで、処置中に結露で濡れることを心配することなく、リサイクル可能な大量の装具を処置することができます。

US CDCとデューク大学が発表した研究があるのですが、これこそが解明すべき課題でした。[過酸化水素蒸気は]効果的ではありますが、飽和点やプロセスを適切に制御できなければ、素材に結露が発生して損傷の原因となるおそれもあります。そのようなことのないよう、当社がサポートします。

本日はありがとうございました。