ヴァイサラ BAROCAP® 技術

ヴァイサラBAROCAP®ウエハーを手にした様子

1985年に発売されたヴァイサラ BAROCAP®は、シリコンベースのマイクロメカニカル圧力センサで、気象観測から産業計測まで幅広い用途で信頼性の高い性能をご提供しています。BAROCAP®センサは、単結晶シリコン材と容量計測という2つの有効な技術を組み合わせており、高い精度と長期安定性に加えて、低ヒステリシスを特長としています。

センサの構造

BAROCAP®は、シリコン膜の変化を利用して圧力を計測するマイクロメカニカルセンサです。周囲圧力が増減するとシリコン膜が曲がり、センサ内の真空ギャップが変化します。すると真空ギャップの両端が電極として働き、この2つの電極の間隔が変わることによりセンサの静電容量が変化します。この静電容量を計測して圧力指示値に変換します。BAROCAP®センサの特性である優れた弾性、わずかなヒステリシス、高い再現性、低い温度依存性、優れた長期安定性は、単結晶シリコン材によって実現されています。この静電容量式の構造がセンサに広いダイナミックレンジを与え、過圧力をブロックするメカニズムを実現しています。

Vaisala Barocap Technology description

気圧計測の代表的な用途

気圧計測は、気象観測の幅広い用途に利用されています。大気中の可降水量の予測には気圧のデータが必要です。主な用途として、気象ステーション、データブイ、GPS気象観測、環境データ記録などが挙げられます。また、水文学や土壌学の分野でも気圧計測が利用されています。気圧データは工業分野でも活用されています。例えば、レーザー干渉計やリトグラフィシステムなどの工業用感圧装置、航空気象、排気ガス分析などの分野で気圧が計測されています。計測用途では、研究施設における圧力の標準計測、校正研究施設における環境モニタリングなどの用途に利用されています。このように、ヴァイサラでは屋内および屋外の用途向けに、プロフェッショナル仕様のさまざまな気圧計をご提供しています。BAROCAP®気圧計は
広い温度範囲で動作し、非常に高い精度が求められる専門的な気象観測や航空気象などの用途にも信頼性の高い性能を発揮します。

 

Vaisala Barocap sensor cross section

 

加圧システムの計測用途におけるBAROCAP®

ヴァイサラのDRYCAP®露点計測機器は、高電圧機器の圧縮空気システムとSF6絶縁ガスのモニタリングにおいて、信頼性の高い安定した計測を長年にわたりご提供してきました。この2つの用途では、露点計測だけでなく高精度の安定した気圧計測が必要とされます。ヴァイサラは、DRYCAP®とBAROCAP®の技術を統合し、加圧システム向けに圧力計測と露点計測を独自に組み合わせた製品を取り揃えています。圧縮空気については、露点計測をリアルタイムのプロセス圧力データと組み合わせて独自の利点をご提供しています。計測した圧力露点は、オンラインで気圧またはppmの単位に変換できるため、露点データの曖昧さを排除できます。モニタリングしているガスの圧力変化によって露点も変わるため、この機能は重要です。高電圧機器のSF6ガスのモニタリングに露点計測と気圧計測を組み合わせることで、SF6絶縁の状態を評価する優れたツールを実現しています。また、ガスの漏れを素早く発見することができ、水分についても早期警報を発します。さらに、露点、圧力、温度の計測により、SF6のモニタリングに欠かせないSF6ガスの密度、圧力、大気圧下露点、ppmの算出が可能になります。