病室およびその他の施設の効果的な除染による人々の安全の維持 Piritta Maunu 生命科学レギュラトリーコンプライアンスと業界のエキスパート Published: Oct 3, 2018 産業計測 ライフサイエンス 過酸化水素による除染は、一般的に、人々の安全を確保するために、病室やその他の施設など広い空間に使用されます。密閉された部屋に低温の H2O2 蒸気を放出すると、ウイルス、胞子、細菌、菌類などの生物有機体に対して有効性があり、生物負荷を6log以上低減させることができます。 H2O2 蒸気発生器により、室内を除染状態にすることができます。市販されている蒸気発生器には、部屋、密閉された筐体、または施設全体の除染用に特別に設計されたものなど、さまざまな種類があり、持ち運びできるタイプや組み込みタイプもあります。蒸気発生器が HVAC(一般空調)システムの一部として組み込まれている場合もあります。その場合、H2O2 蒸気を該当エリア全体に効果的に拡散できます。 過酸化水素による部屋の除染の用途は、製薬およびその他の業種のクリーンルームから病院の面会室や手術室、さらには緊急車両、ウイルス研究所、航空宇宙および防衛の分野に至るまで、多岐にわたります。また、蒸気発生器は、CO2 インキュベータ、生物学的安全キャビネット、または移動式軍用テントなどの他のデバイスに結合したり、組み込んだりすることができます。このブログでは、こうした用途のいくつかについてご紹介します。 クリーンルーム クリーンルーム(製品の粒子汚染および微生物汚染を防止するために設計、維持、および制御された部屋)は、H2O2 蒸気が使用される最も一般的な場所の1つです。この部屋は特別な用途に割り当てられ、適切な空気清浄度分類基準を再現性高く満たすことができます。欧州のクリーンルームは、空気中の浮遊粒子状物質の量およびエリア内の微生物の量に従って4つのグループに分類され、それぞれ空気サンプル、落下菌および付着菌、指またはグローブ付着菌について、CFU(コロニー形成単位)限度が設定されています。これらのクリーンルームはD、C、B、Aの等級に分けられ、そのうちAが最も清浄な環境です。一方、ISOの分類では、ISO9~ISO1の9個の異なる浮遊粒子状物質清浄度分類が定義されており、そのうちISO1が最も清浄な環境です。クリーンルームでは、高性能粒子捕集エアフィルター(HEPA フィルター)が使用されます。このフィルターは、Eudralex EU GMP 第 4 巻付録 1 の草稿で、最小0.3µmの粒子に対して99.97%の捕集効率を備えたエアフィルターとして定義されています。 クリーンルームは、ハウスアイソレーター、アクセス制限バリアシステム(RABS)、トランスファーシステム、滅菌室である場合があります。H2O2 による除染は、クリーンルームとパッシブおよびオープンの RABS で同時に行われます。その他の除染装置は、通常、個別に除染されます。 病院 医療および研究の分野において、特に先進国や新興国で適切に清掃された施設に対する重要性の意識の高まりにより、H2O2 蒸気発生器が広く利用されるようになっています。複数の抗生物質に対する耐性を備えた細菌や、エボラのような非常に危険なウイルス性感染症の大流行が近年増えてきているため、施設を除染する能力を備え、病院での感染拡大を防止する能力を高める必要があります。過酸化水素蒸気発生器は、病院および医療の分野でさまざまな用途に使用されています。この蒸気発生器は、集中治療室、手術室、処置室、検死室、緊急治療室、病室、待合室、組織培養検査室、インキュベータ、血液バンク、および救急車の除染に有効で、手術用器具の除染に使用されることもあります。H2O2 蒸気発生器または燻蒸器を備えた、持ち運びが簡単な移動式機器は、さまざまな医療施設できわめて役立ちます。 ウイルス研究所 さまざまな種類のウイルスに対する治療薬およびワクチンを設計するには、継続的な研究を通じて、インビトロ細胞培養または動物によるインビボ試験により、ウイルスの感染ルートおよび遺伝子変異率を理解することがきわめて重要です。ウイルス研究所の信念は、変化する世界中の病気の流行に素早く反応することです。研究所は公衆衛生を保護し、地域の懸念に効果的に対応しなければなりません。不断の努力で研究を続けていても、人類は常に追いかける側です。ウイルス研究所の研究者たちは、気密性の高い特殊なスーツを身にまとって、マーブルグ、エボラ、ジカ、フニン、マチュポ、各種ハンタウイルスなど、地球上で見つかった最も危険な病原菌に取り組み続けています。研究所エリアに存在するすべての病原菌を効果的に死滅させることができる H2O2 蒸気のような物質は、こうした取り組みに不可欠です。H2O2 による除染がなければ、研究者やその他のスタッフが感染し、ウイルスが施設の周囲に拡散する危険性があります。 ヴァイサラの PEROXCAP® 過酸化水素除染バリデーション技術の詳細はこちらからご確認ください。
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