気密化された電力用変圧器のモニタリング – トータルガス圧 Senja Leivo Senior Industry Expert, Vaisala Published: Sep 10, 2021 電力 すべての産業とその資産には、絶え間ない効率化の目標があります。電力用変圧器も例外ではありません。変圧器の寿命の最大化と延長は、効率化の課題に対処することといえます。 電力用変圧器の残存耐用年数は、巻線内の絶縁紙の状態に依存します。酸素と水分は絶縁紙を劣化させる働きをするため、変圧器を乾燥させて酸素が入らない状態に保つことが重要です。 酸素計測は必要?計測の本当の目的とは 最近の新しい電力用変圧器は、酸素と湿度を防ぐために通常は密閉されていますが、多くの古い変圧器にもシーリングシステムが後付けされています。資産管理者にとって、タンクが密閉されたままであることを確認することは課題のひとつです。 絶縁油中の酸素濃度を計測することは、酸素の侵入を確認する1つの方法にすぎません。酸素を直接計測しても、酸素が侵入しているかどうかはわかりませんが、酸素は反応で消費されます。さらに、変圧器内の絶縁油の酸素濃度についての解釈ガイダンスに関する国際基準がないため、計測結果を確認してそれを「解釈」するには、経験豊富なDGA(溶解ガス分析)の専門家が必要です。 ただ、どのくらいの酸素が絶縁油に含まれているのかを実際に知る必要はなく、変圧器のアクティブ部分が絶縁油内の空気(酸素の唯一の供給源)にさらされているかどうかを知る必要があるだけです。言い換えれば、タンクのシーリングが機能しているのかを確認することが必要なのです。 より良い方法を見つける — ヴァイサラの堅牢な科学 これらの課題を調査した後、酸素の侵入を検出するためのより簡単でシンプルな方法が必要だと考えました。そのシンプルな方法とは、DGAにおける7つの主要な異常ガスの量の解釈とは関係せず、自動状態評価システムの入力として直接使用できる、自明で直感的なものです。 この考えが、トータルガス圧(TGP)手法を導入するきっかけとなりました。TGS手法とは、絶縁油中に溶解したすべてのガスの全圧を検出することです。タンクに空気が侵入した場合、ガスの大半が窒素と酸素になるため、TGP値が上昇し始めます。 最初に脱気された絶縁油で密閉された変圧器は、数十年にわたって低いトータルガス圧を維持します。圧力値は大気圧よりはるかに低くなります。圧力値が上昇し始めたということは、明らかに空気が侵入していることを示しています。これは、運転停止後に上昇が見られた場合に、材質または製造上のいずれかでシーリングに問題があることも示しています。 シンプルで、直感的。そして、画期的。 TGPは非常にシンプルで直感的なパラメータで、空気混入があるかどうかを一目で教えてくれます。専門家の意見や解釈は必要ありません。もちろん、自動モニタリングシステムに直接接続して、当該変圧器の通常の圧力よりもいくらか高い圧力のアラートレベルを設定することもできます。 また、異常ガスとは異なり、空気の侵入自体は即座に処置を講じる必要がないことにも注意しなければなりません。TGPがシーリングの問題を示している場合は、次の運転停止時に対処できるため、絶縁紙がさらに劣化することはありません。 つまりTGPとは、確実に酸素の遮断していることを検知し、そして変圧器の耐用年数を最大化することです。
専門家に会う:Senja Leivo Senja Leivo氏は、ヴァイサラのシニアインダストリーエキスパートであり、CIGRE分科会の常勤メンバーです。 電力用変圧器の状態監視を専門に20年の経験があり、業界内の戦略的トレンドと新しい監視ニーズを特定することや顧客の声をヴァイサラの製品開発に反映させることに携わっています。Senja は、材料工学の修士(理学)を取得しています。