COVID-19のパンデミック時に違いを生む計測技術

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医薬品の品質、安全性、有効性のサポート

コロナウイルスのパンデミックが発生する以前から、健康と福祉は多くの組織、政府、市民の優先事項として大いに取り上げられていました。そのため、ヴァイサラを含むテクノロジー企業は、健康志向がますます高まる社会の要求を満たす製品を開発するようになりました。健康と福祉の推進は、国連の持続可能な開発目標(SDG 3)の1つでもあります。これは、人々の健康を改善して、平均余命を延ばし、母子死亡率を低下させ、感染症と戦うことを目指しています。

持続可能な開発に貢献し、新規事業や持続可能なビジネス策定のインスピレーションを得るため、ヴァイサラは国連のSDGsを自社の戦略的計画に組み込んでいます。ヴァイサラの製品とシステムの多くは、病気との闘いに大きく貢献しています。以下では、ヴァイサラの計測技術がCOVID-19のパンデミック収束に役立っているいくつかの事例についてご紹介します。

COVID-19ワクチン開発に最適な環境の確保

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)がCOVID-19の原因です。「COVID-19」という単語は、コロナ(Corona: CO)、ウイルス(Virus: VI)、疾患(Disease: D)を表し、19(2019)は、中国の武漢市で最初の症例が検出された年を表します。コロナウイルスはエンベロープウイルスであり、1960年代に風邪を引いた患者の鼻腔から最初に分離されました。コロナウイルスは世界中の風邪の10〜15%の原因であり、季節的なパターンがあると考えられています。

新しい変異ウイルスであるSARS-CoV-2は世界中に急速に広がり、多数の死者を出し、甚大な経済的損害を引き起こしました。現在、COVID-19の診断ツール、治療法、安全で効果的なワクチンの開発が進んでいます。ヴァイサラは、その使命を支援するさまざまな技術を提供しています。

2020年3月、ヴァイサラは中国の武漢から、インキュベータのCO2レベルをモニタリングする GMP231 二酸化炭素変換器の急ぎの注文を受けました。これらのインキュベータは、ウイルスなどの微生物の培養に使用され、培養されたウイルスは、ワクチン開発のために使用されます。GMP231プローブの主な役割は、インキュベータ内の二酸化炭素レベルが培養に最適なpHレベルを維持できるようにすることです。 

過酸化水素蒸気による効果的な除染

ヴァイサラの革新的な計測技術は、表面に存在するウイルスなどの有害生物を死滅させるための最前線の除染作業でも使用されます。たとえば、Cleamix社は、2020年初めのコロナウイルスの大流行の際、韓国の疾病管理本部で過酸化水素蒸気による除染作業を実施しました。Cleamix社のポータブル過酸化水素蒸気発生器には、ヴァイサラのHPP270シリーズプローブが使用され、除染時にH2O2蒸気の出力をモニタリング、制御します。

過酸化水素蒸気は、最も耐性のある微生物でさえも破壊することができます。そのため、重要な場所の消毒に使用されます。除染には、特定の期間にわたって特定の濃度が必要です。さらに過酸化水素は不安定なガスであるため、モニタリングが必要です。過酸化水素蒸気がない場合、空気の相対湿度により、結露が予測されます(通常 100%RH)。相対湿度は、水蒸気のみによる湿度を示します。ただし、過酸化水素蒸気をエリアに噴射すると、混合空気の凝縮点が変化します。相対湿度と同様に、相対水分飽和度は、過酸化水素蒸気と水蒸気の両方によって引き起こされる空気の湿度を示すパラメータです。相対水分飽和度が100%RSに到達すると、混合蒸気の凝縮が始まります。つまり、H2OとH2O2の混合蒸気の飽和点を示すため、プロセス中に相対水分飽和度を把握することが重要といえるのです。

HPP272プローブ内部にあるヴァイサラ独自のPEROXCAP® 過酸化水素センサは、相対水分飽和度を示す唯一の技術です。このプローブは、除染サイクル全体で、高湿度の条件下でも安定し、信頼性の高く高精度な過酸化水素計測が可能です。本プローブは現在、世界中の除染装置メーカーによって使用されています。

品質とGxP準拠のための環境モニタリング

モニタリング、アラーム通知、レポート作成は、医薬品、ワクチン、医療機器の製造プロセスにおいて不可欠です。これらの製造プロセスは、厳密に管理された環境条件で行われる必要があります。ヴァイサラの計測技術は、ワクチン、医薬品、血液、生物製剤、医療機器の研究、製造、クリーンルーム、処理、流通、保管環境で使用されています。

ヴァイサラの主要技術の1つとして、viewLinc 環境モニタリングシステムがあります。これは実験室、倉庫、クリーンルームなど、GxP(適正規範)が適用される規制環境向けに設計されました。重要なパラメータをモニタリングすることで、製品は保護されます。事例としては、ある製薬会社が高齢者介護施設でCOVID-19研究用のモバイル臨床試験ユニットを設けたとき、モニタリングソリューションとしてviewLincが選ばれました。

医薬品、ビタミン、インフルエンザワクチン製造の液体濃度計測

ヴァイサラ K-PATENTS® 製薬用屈折率計 PR-43-PCは、安全性と有効性を確保するために、インフルエンザや豚インフルエンザなどの病気に対するウイルス性ワクチンの開発と製造、およびその他の医薬品開発プロセスで使用されています。

プロセス屈折率計は、溶液の屈折率(RI)と温度を計測することにより、溶解固形分の濃度を特定します。RIをモニタリングすることで、プロセスの状態をより把握することができ、医薬品開発時間が短縮され、生産能力と安定性が向上します。また、製品の品質が保証され、規制遵守の実証にも役立ちます。製薬会社は、創薬から製造までのプロセスのバリデーションを実証する必要があり、これはRI計測により実現できます。

たとえば、ヴァイサラの屈折率計は、インフルエンザウイルスの精製プロセスでショ糖/スクロース密度を計測します。遠心分離後、ウイルスは特定のショ糖/スクロース密度勾配にバンドします。屈折率計でその密度を計測することにより、ウイルスを安全かつ効率的に収集することができます。こういった信頼性の高い計測により、インフルエンザワクチンは品質を損なうことなく可能な限り迅速かつ安全に開発することができます。

まとめ

ヴァイサラのソリューションは、医療、製薬、バイオテクノロジー分野の用途で重要な環境と条件をモニタリングすることにより、患者とスタッフの安全性、および医療機器、医薬品、ワクチンの有効性を確保しています。これらの技術は、COVID-19のパンデミックとの闘いに大きく貢献しており、今後も国連の持続可能な開発目標を支援していきます。