食品および飲料業界における正確なCO2計測
食品と飲料に関する多くの用途では、質の高いCO2計測を行うことが必要ですが、業界の多くの企業が今もなお、そのためのベストな方法を決めかねています。この記事では、いくつかの異なる要件と環境の概要について紹介しながら、正確で信頼性の高いCO2計測を行う方法をご紹介します。
質の高いCO2計測が必要な理由
最終製品、プロセス、ニーズによらず、ほとんどすべての用途において、環境を正確に反映し、用途の要件を満たすCO2計測を行うことを目指しています。二酸化炭素は生物の代謝によって生成されるもので、光合成でも重要な役割を果たします。そのため、プロセスの安全性を検討したり、生産性や製品の品質を議論したりする際には、二酸化炭素の重要性を無視することはできません。選択したプロセスでのCO2の機能を理解することで、それがもたらすメリットを活用し、労力を最大限に生かしてより良い結果を生み出すことができます。
作業者の安全性の向上
まず、最も重要なトピックである安全性について考えます。CO2は酸素の置き換えによって生じるため、二酸化炭素濃度が高くなっている状態は危険です。CO2濃度が高すぎる状態は、人の快適性にも悪影響を及ぼします。ほとんどの国で職場における暴露限界が設定されているのはそのためです。たとえば米国では、CO2の一般的な暴露限界は8時間の作業シフトで5,000ppmとされています。
二酸化炭素の安全レベルの計測が特に重要なのは飲料業界です。飲料業界では、発酵槽の圧力を逃す弁に過度な圧力がかかることによって、CO2が放出されるおそれがあります。清涼飲料のボトル詰めラインにあるタンクやパイプラインでガス漏れが生じるリスクもあります。CO2は空気より重いため、換気されていない場所でガスが蓄積すると、従業員に深刻な健康上のリスクをもたらす可能性があります。そのため、床面のできるだけ近くにCO2計測センサを配置する必要があります。
安全性の計測が行われるもう1つの用途は冷媒です。CO2は、R744という冷媒としても使用されています。これは、以前の冷媒に使用されていた他の多くのガスと比べて、はるかに環境に優しい冷媒で、スーパーマーケットや食料品店の冷蔵ケース、冷蔵室、ウォークイン型の冷凍庫、業務用冷蔵庫などで幅広く使用されています。どの冷媒システムでも、不十分なメンテナンス慣行、機械的な摩耗、偶発的な損傷、不適切な設置が原因で、または単にCO2冷媒システムの通常の高圧作動によって、時間の経過とともに漏出が生じる可能性があります。
CO2は無色無臭の気体であるため、監視機器でCO2が適切に維持されていない場合、漏出が検出されない可能性があります。ヴァイサラCARBOCAP®製品は安全認証の対象ではありませんが、早期警告や一般的な監視で優れた機能を発揮することが、多くのお客様によって認められています。CO2をできるだけ早く検出するには、フランジ、バルブ、減圧装置、ポンプなど、漏出が発生する可能性のある箇所の近くに変換器を設置する必要があります。
生産量の最大化
現代の製造業では生産性の高さが重要です。食品業界の多くの企業は低い利益率で大量の生産を行っているため、事業を継続するには生産性と有効性が不可欠です。CO2で生産量を管理する良い例が温室です。キュウリやレタスには、最もよく育つ最適なCO2濃度があります。この場合、CO2は植物の成長促進に使用されます。つまり、正しい濃度に維持することが重要です。多すぎても少なすぎても、農産物の品質に影響します。
製品品質の最適化
CO2の最も新しい用途は、繊維、製紙、食品、パン製造などの業界で行われる発酵と酵素の製造です。発酵は通常、バイオリアクターで行われ、注意深く監視することが重要です。CO2はこの発酵プロセスの副産物であり、濃度を監視してプロセスの進行状況を確認する必要があります。
CO2は、製品の品質の向上と維持にも使用できます。CO2を食品パッケージに添加することで、肉、チーズ、果物、野菜の貯蔵期間と保管可能期間を大幅に延ばすことができます。たとえば、肉のパッケージに高濃度のCO2を添加すると、細菌の増殖が抑えられ、肉の自然な色合いが維持されます。同様に、高濃度のCO2には、長期貯蔵または輸送中の果実の熟成を遅らせたり、止めたりする効果があります。
センサの配置
ダクト、チャンバー、機械の内部へのセンサの配置が必要になることがよくあります。計測スポットが天井の近くの高い位置にあり、アクセスが困難な場合もあります。このような場合、計測安定性を長期間維持するセンサを使用して、その後のセンサ点検の必要性を最小限に抑えるのが効果的です。用途によっては、センサをプロセス内に直接設置するのではなく、サンプルポンプとチューブを別途使用して、リモートのCO2計測機器にガスサンプルを送った方がよい場合もあります。たとえば、センサを高温のオーブンの内部に配置することはできませんが、プロセスからのガスサンプルの採取は容易にできます。サンプラーを構築して、いくつかの異なる箇所でガスサンプルを採取する方法が、経済的に妥当な場合もあります。マルチプレクサを使用すると、単一の検出器で各サンプルを順次計測できます。継続的なリアルタイム計測を行う必要がない場合には、この配置を使用できます。ノンストップ計測が必要な場合には、場所ごとに専用のセンサを使用する必要があります。
センサの清潔さの維持
食品業界のプロセスでは、良好な衛生状態を保つ必要があります。そのためセンサには、アルコールベースの洗浄剤や過酸化水素(H2O2)など、一般的な洗剤への耐久性が求められます。さらに、センサの表面には穴や継ぎ目がなく、拭くだけで簡単に清掃できるように設計されている必要があります。センサに有害な化学物質を放出する素材や、すぐに緩んでプロセス内に落下する可能性のある部品が使用されていてはなりません。埃が多く、監視する箇所の多い鶏舎のような環境の計測では、さらに多くの課題が生じます。部屋全体を高圧洗浄機で定期的に清掃するキノコ農園では、CO2センサを含むすべての機器に、水の直接噴射への耐久性があることが必要です。
CO2センサのメンテナンス
センサ機器が長期的な安定性と精度を備えている場合でも、長期間使用する場合にはセンサに一定のメンテナンスが必要になります。中にはユニット全体を交換する、使い捨てタイプのセンサもあります。たとえば、化学電池タイプのセンサは使い捨てです。このタイプのセンサでは、使用期間によって検出感度に問題が生じることもあります。使い捨てセンサは交換にコストがかかるため、長期的には高コストになる可能性があります。
より経済的なのは、CO2センサを交換可能なフィルターで保護して使用する方法です。汚れ、油、埃などが付着したフィルターは、センサとのガス交換を妨げるため、交換する必要があります。
老朽化したCO2計測機器は、既知の基準に対して校正するか、メーカーに送付してサービスを依頼する必要があります。最近校正したばかりの個別のハンディタイプの計測機器を基準計として使用できます。ハンディタイプ計測器とCO2計測機器を比較することで、センサにサービスが必要かどうかを簡単に判断できます。
厳しい環境下でのCO2計測の詳細については、3月19日に行われる無料のウェブセミナー(英語のみ)にご参加ください。
ヴァイサラのスマートCO2製品の詳細については、当社のウェブサイト(GMP251およびGMP252)をご覧いただくか、当社までお問い合わせください。
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