フィールドのバランス:計測技術による環境制御型農業 Justin Walsh Business Development Engineer Published: May 20, 2020 温室/室内農業 産業計測 環境制御型農業(Controlled Environment Agriculture: CEA)は、世界中の食品市場で最も急速に成長している分野の1つです。増え続ける地元産有機生産物の需要は、今日の近代的な温室である、垂直農場やコンテナ農場によって満たされています。現在利用できるテクノロジーが向上したことで、生産者はより少ないエネルギーと資源を使用しながら、より多くの生産をより一貫して行うことができます。 それにより、生産者は施設内に最適な栽培環境を高い精度で作り出し、多種多様な作物の生産を可能にします。施設を密閉し、空調を管理することで、農業従事者は作物を種子から収穫までより短い時間で栽培し、各サイクルでより高い収量を得ることができ、年間の収穫サイクルを増やすことができます。 温室のレイアウトを最適化すると、従来の農業と比較して生産量を増加できます。垂直農法と点滴灌漑技術の採用により、従来の方法で栽培できるものを、あるいは従来の温室でできるものであっても、簡単に生産量を上回ることができます。屋内で栽培されるより一般的な作物が葉物野菜、つる作物、花、その他の苗床作物であることを考えると、層状化の可能性を制限するのは照明資源のみであり、これは近年大幅に安価になっています。 総合的病害虫管理がより簡単に実施されるため、農薬使用が減少し、CEA農業にとっても利点となります。これにより、よりクリーンな環境と持続可能な作物保護が実現し、無農薬食品の需要を満たすことができます。 節水はCEAのもう1つの大きな利点です。ハイドロポニックスまたはエアロポニックスのいずれかの方法で水の使用を制御できると同時に、地面への浸透によって水が失われないようにすることで、屋内での運用に必要な真水が大幅に少なくなります。水の不足と制限に直面している地域では、こういった手法は実現可能性の主要な要因になり得ます。 全体のエネルギー効率は、CEA事業の重要な要素です。HVACシステムと照明はエネルギー負荷であるため、自動化されているかどうかに関係なく、温室の電力需要は従来の農業よりも大幅に高くなります。ここで品質センサによる違いが生じます。栽培空間の状態を注意深く監視すると、エネルギーの節約とより健康的な作物をもたらします。 CEAにより成功する人 CEAはほとんどすべての作物を屋内で栽培できるため、 花や観賞植物の栽培から農産物の生産まで、多くのさまざまな市場で見ることができます。CEAの生産技術により、1年に1〜2回の収穫と4〜6回の収穫の違い、および一貫した提供のために収穫期間をローテーションする能力が生じます。屋内で栽培されるほぼすべての作物は、これらの技術の恩恵を受けることができます。現在最も人気のある作物には、レタス、マイクログリーン、つる作物、花があります。さらにきのこ、果物もCEA事業で栽培されています。何を栽培するかを決定する際、予測収益性がカギとなります。 制御の種類 温室の制御は、手動換気による時折の単純計測から、完全な常時監視システムおよび自動制御まで多岐にわたります。ヴァイサラは、あらゆるレベルの制御に適したさまざまな計測機器を提供しています。独自のデータロガーとviewLincソフトウェアを使用した高度な常時監視システムから、シンプルで正確なハンディタイプのセンサまで、ヴァイサラの計測機器は信頼性の高い計測とデータのニーズを満たします。 簡単に言うと、空調管理が優れていれば、作物も改良されます。また、正確で信頼性の高い計測を行うことで、効率的な資源管理により生産コストを削減できます。最も重要な計測パラメータは、湿度、温度、二酸化炭素、気象状況、光、養分、水分です。これらのパラメータは、成長速度を促進するためだけでなく、作物が損傷する可能性を防ぐためにも計測されます。 湿度パラメータ 湿度は、温室内で制御するのが最も難しい環境要因であり、重要な達成指標です。それは空気の温度に直接関係しており、比較的小さな温度変化でも劇的に変化する可能性があります。温度が20度下がるごとに空気の保水容量は半減し、相対湿度は2倍になります。これが、一晩のうちに温度が下がると湿度が高くなり、結露が発生する理由です。ヴァイサラ HUMICAP® センサは水濡れに耐えることができ、乾いたら正確に計測します。 適切な散水方法と適度な換気は温室内の湿度を制御するための最良の方法であり、正確な湿度計測を行うことで、農業従事者は制御をタイムリーで情報に基づいた決定により行うことができます。 温度パラメータ 植物は広範囲の温度で生存し成長することができますが、最適な成長速度を促進する種ごとの最適な温度があります。 温度調節は、自然換気またはHVACなどの機械的手段によって行われます。施設の温度調節の課題を知ることは重要であり、ホットスポットやコールドスポットを特定するために、栽培空間のさまざまな領域を調査またはマッピングすることをお勧めします。正確で信頼性の高いヴァイサラ温度センサは、これらの重要な計測値を提供でき、作物の選択とレイアウトの決定に役立ちます。 CO2パラメータ 二酸化炭素は光合成に欠かせない要素であるため、温室環境内での植物の成長と生産における二酸化炭素補給の利点は、長年にわたってよく理解されてきました。CO2によって生産性が向上する例としては、早期開花、果実の収量増加、茎の強度向上と花の大きさの改良があります。実際、CO2レベルが周囲レベルから1,000ppmに上昇したとき、純光合成量は最大50%増加します。 密閉型栽培作業で見られる問題の1つは、植物が得られるCO2を吸収して、CO2の欠乏が発生し、成長が妨げられることです。CO2補給(燃焼によって生成されるか、気体、液体、または固体の形で供給される)は、作物にこの重要な資源を提供するための一般的な方法です。気体を供給する際、人の安全への懸念もあります。ヴァイサラ CARBOCAP®センサによる正確なCO2計測は、この資源の制御を長期安定性と低い所有コストで実現します。CO2計測による植物の成長の最適化についてのアプリケーションノートをダウンロードして、詳細をご確認ください。 まとめ 温室または環境制御型農業システムの収益は、運用の効率と収益性によって決まります。 正確な計測と制御により、効率的で収益性の高い結果が得られます 正確な計測は、高精度で信頼できるセンサから始まります。 高精度と高い信頼性により、全体の所有コストが削減されます。 品質の計測は収益に直接影響するため、投資する価値があります。 ヴァイサラの品質計測ツールを使用して、運用の最大化を実現してください。詳細については、当社にお問い合わせください。
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