室内空気の計測 - 建物のシステムを制御 屋内/室内空気質 産業計測 エネルギーを節減し、住人の幸せと健康を保つには、建物のスマート化が必要です。持続可能な成果を得るには、信頼できる室内空気の計測に基づいて建物のシステム制御を行う必要があります。環境計測および産業計測向けの製品とサービスのグローバルスペシャリストであるヴァイサラは、室内空気の計測に関していくつかの指針を示しています。人口増加、都市化、気候変動により、増大する電力需要を抑制するエネルギー効率の必要性が高まっています。商業用および住宅用の建物は、エネルギーを最大に消費するものの一つです。米国エネルギー情報局によると、商業用および住宅用建物は2015年の米国の総エネルギー使用量の約40%を占めており、潜在的なエネルギー節約の対象となっています。人々はまた、地球環境に対する人間の影響について、より意識するようになっています。多くの人が環境保護のためにエネルギー使用を最適化することを望んでいますが、同時に、生活環境と労働環境の質については、向上を期待しています。両方の要求に対応するために、建物はよりスマートになっています。まず、スマートビルディングとは何でしょうか。定義はさまざまですが、スマートビルディングでは、暖房、換気、空調、照明、アクセス制御を提供するさまざまなシステムが相互に接続され、1つの統合型システムを形成するという点では意見が一致しています。目標は、室内空気の質を高く保つことにより、建物内の状態を最適化し、ユーザーや居住者に快適さと安全性を確保することです。最適化により、建物のエネルギー消費を最小限に抑えることもでき、建物による環境負荷を削減することができます。McGraw Hill Construction社はSmartMarketレポートで、インテリジェントビルディングのエネルギー使用量が従来のシステムに比べて20〜40%少なく、運用コストが8〜9%低く、評価額は7.5%高いと発表しました。全体として、スマートビルディングは、所有者、居住者、そして社会や環境全体にさまざまなメリットをもたらすことができます。 長期的な最適化屋内の状態を最適化するには、統合された制御システムが必要であり、その動作が正確で信頼性の高い計測に基づいている場合にのみ、システムが適切に機能し、最大限に能力を発揮することができます。最も洗練された制御アルゴリズムやシステムでさえ、その動作が不正確なデータに基づいている場合は役に立ちません。計測に不備があると、ビルディングオートメーションが不十分になり、室内空気質の問題やエネルギー浪費が生じる可能性があります。さらに重要なのは、室内状態の計測に使用されるセンサの安定性です。ビルディングオートメーションで使用される計測機器は、多くの場合、何年にもわたってそのままの状態であるため、年数を重ねても一貫した信頼できる結果を生成できる必要があります。ただし、エンドユーザーや所有者は、多くの場合、工事施行者とシステムインテグレーターが選択した計測機器に頼るしかありません。今日のコスト主導の世界では、計測機器は単に価格に基づいて選択されることが多く、数年または数十年も使用されます。これにより初期費用を最小限に抑えることができますが、長期的には、メンテナンスコストを抑えることが難しい場合があります。さらに、この方法だと、エネルギーの節約や建物のユーザーにとって快適で健康的な環境など、スマートビルディングが持つすべての利点をもたらさない可能性があります。そのため、建物の所有者とユーザーの長期的な利益にかなう、スマートビルディングの設計と計測機器の選択に特に注意を払う必要があります。一例としては、壁を無傷に保つ必要がある領域、またはケーブルの配線に障害がある領域です。この状況では、建物の構造を壊すことなく計測機器を設置できるようにするために、長距離ワイヤレスソリューションが必要です。 目標は、室内空気の質を高く保つことで建物内の状態を最適化し、ユーザーや居住者に快適さと安全性を確保することです。最適化により、建物のエネルギー消費を最小限に抑えることもでき、建物の環境負荷を削減できます。 屋外も考慮する将来的には、天気と大気質に関する屋外データを判断材料に含めることで、建物をさらにスマートにすることができます。今日でも、最先端の建物には独自の気象ステーションがあり、空気の取り入れの最適化と空気の処理(暖房、冷房、乾燥、加湿)に役立つ情報を提供しています。将来のスマートビルディングは、他の気象データにもアクセスできる可能性があります。気象情報を使用してビルディングオートメーション設定を事前に微調整できるようにさえなるかもしれません。たとえば、システムが1時間以内に日が照り始めることを把握した場合、太陽による加温効果を考慮して、事前に暖房を弱めることができます。天候は、近頃重要になっているもう1つの要因である大気質にも影響を与えます。一酸化炭素、亜酸化窒素、二酸化硫黄、硫化水素、オゾンなどの汚染ガスおよび粒子は、深刻な健康への悪影響があるため、大きな懸念事項です。たとえば、粒子汚染は、建物内に持ち込まれるときに外気からろ過する必要があります。粒子含有量が高い場合は、できるだけ空気を取り入れないようにしたいと思うでしょう。そこで二酸化炭素の計測により、必要な新鮮な空気の量を正確に知ることができます。屋外と屋内の計測値を組み合わせて使用することで、建物はよりインテリジェントになり、自動で動作して、快適さとエネルギーを最高レベルで最適化することができます。 大気質、湿度、温度、CO2建物の中では、さまざまな要因が室内空気質とエネルギー消費に影響を与えます。通常の状態(室内空気汚染物質のある場合を除く)の一般的な建物では、モニタリングする最も重要なパラメータは二酸化炭素、相対湿度、および温度です。二酸化炭素レベルは、空間における適切な換気を示す良い指標です。二酸化炭素濃度の上昇は、通常は健康に害を及ぼすものではありませんが、体のこわばりやにおい、高濃度の場合は眠気などの症状が出ることがあるため、換気を強化する必要な場合があります。また、建物内の相対湿度も居住者の健康に影響を与える可能性があります。たとえば、中程度の相対湿度で働いている、または住んでいる人々は、呼吸器感染症を患う可能性が低くなります。アレルゲン性のダニや真菌の個体数も、相対湿度に直接左右されます。健康への悪影響を最小限に抑えるには、室内の相対湿度を40〜60%に保つのが理想的です。室内空気の相対湿度は、温度の知覚にも影響を与えます。人は湿気のある空気よりも乾燥した空気を冷たく感じます。そのため、湿度を最適なレベルに維持すると、温度を少し低く保つことができ、エネルギーを節約できます。 詳細は、HVAC ページからご確認できます。『BUILDING SERVICES & ENVIRONMENTAL ENGINEER』 2017 年 2 月号に掲載(www.bsee.co.uk)