HVAC ダクト用センサ設置時のよくある落とし穴
この記事はHVAC センサ設置時の注意点について考察するブログシリーズの2回目で、不適切な設置により発生する物理的な計測エラーに注目し、焦点を当てています。
温度差
ダクト用センサでは、ダクト内外の空気の温度差が計測エラーの最も重要な要因です。たとえば、吸気ダクトにダクト用センサを取り付けて外気の状態を計測する場合を考えてみます。通常、ダクト内の空気と外気には非常に大きな温度差があるため、熱がダクトを通り、表示される温度が増減します。もちろん、大きな温度差がある場合は特に、湿度計測も影響を受けます。ダクト内の湿度が高く、ダクト外の温度が低い場合は、結露が発生することがあります。流速が低いと、ダクトの外から漏れる熱の影響がより顕著になります。正確な計測を行うには、このような状況をすべて防ぐことが重要です。
断熱ダクトを使用する場合は、ダクトと環境の温度差が大きくなるため注意が必要です。センサ設置のために断熱材を切り開いてセンサを特殊な断熱材の中に入れ、電子回路部の温度がダクトの温度に近くなるようにしなければならない場合があります。挿入長を短くすることでもこのような効果が高まります。温度差はダクト用センサの最も一般的なエラー要因です。
吹き溜まり部分への設置
ダクト用センサをダクトのエルボー部分等に設置した場合(図1)、計測対象となる気流がセンサに当たらないため計測値はセンサ周囲に溜まっている空気の温度や湿度となります。
この問題を避けるためにはセンサを計測対象となり気流にしっかりと当たる位置に設置する必要があります。ダクト内空気の湿度が高く、流速が低い場合には特に注意する必要があります。
図 1. 吹き溜まり部分に設置したダクト用センサ。不正確な計測につながります
結露
結露の問題がある場合、下向きにセンサを取り付けると問題がさらに悪化します。結露は通常、ダクト用センサをダクト内に設置した場所で発生し、センサが下向きの場合、結露水がセンサに流れ、計測値が影響を受けます。さらに、腐食やセンサの恒久的な損傷を引き起こす場合もあります。センサは水平に取り付けるか、鉛直方向に取り付けなければならない場合は下向きではなく上向きで取り付ける必要があります。
湿度センサは加湿を制御するためによく使われます。たとえば、噴霧型加湿器は細かな水滴を噴霧しますが、このような細かな水滴が蒸発するにはある程度時間がかかります。ダクト用センサを取り付けた場所が加湿器に近すぎると、水滴が湿度センサや温度センサに降りかかります。水滴が溜まり、センサに凝縮した水により計測値が影響を受けます。最悪の場合、センサが完全に損傷します。少なくとも、結露の影響を常に受けているセンサの計測結果を使用して何かを制御することは不可能になります。加湿器とダクト用センサの最小距離は流量と加湿器の種類により異なりますが、一般的な目安として、ダクト用センサは加湿器から約 5m 離して設置してください。
ダクト用変換器を取り付けるときは、後でリファレンスプローブを使って計測値を確認できるように、フィードスルー用の穴を設けておくことをお勧めします(図 2)。使用しないときは、穴をダクトテープでふさぐことができます。
図 2. ダクト用変換器を取り付けるときにフィードスルー用の穴を設けておくことで、リファレンスプローブを使って計測値を確認できます。
CO2 センサ等のガスセンサでは、いわゆるサンプリング方式が一般的な設計です。ダクトの気流の一部をサンプリングしてダクトの外にあるセンサ部に送り、そこで実際の計測が行われます。その後サンプリングライン、センサハウジング、およびダクト自体の取り付けに気密性がある前提でダクトに空気が戻されます。漏れがある場合は気流がセンサ部にほとんど届かない可能性が高いため、ダクト内の空気ではなく外気を計測していることになります。
ダクト内部で計測するようにセンサ部をダクト内に設置できるように設計されたセンサもあります。このようなセンサは漏れにより引き起こされる各種エラーが発生しにくい傾向があります。
ダクト内部で計測するよう設計されたセンサもあります。このようなセンサは漏れにより引き起こされる各種エラーが発生しにくい傾向があります。
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