環境モニタリングシステムの|SOPの作成

SOPテンプレート
Paul Daniel
ポール・ダニエル
シニア レギュラトリ・コンプライアンス・エキスパート
Published:
産業計測
ライフサイエンス

ヴァイサラご担当者様

viewLincモニタリングシステムの標準操作手順書(SOP)をあまり時間をかけずに作成したいと考えております。ヴァイサラでは、viewLinc SOPに関する参考資料を提供されているでしょうか。

SOPは基本的にユーザが作成して管理するものであることは承知しておりますが、取り掛かりとしてサンプルを提供いただけましたら幸いです。よろしくお願いいたします。

Paul Daniel の返信:
お問い合わせありがとうございます。

適正規範(GxP)規制では、規制対象用途の場合、モニタリングプロセスを記述した手順書と製品の保管仕様書を用意することを求めています。この文書化の要件はさまざまな方法で満たすことができるシンプルなもので、その方法の中にSOPも含まれています。 

コンピュータ化されたモニタリングシステム(viewLincなど)を使用して実際の空間(冷蔵庫や倉庫など)の温度をモニタリングする場合、作成される手順書は、ソフトウェアを基にしているため、共通している部分が多くなります。

個々の会社が保管仕様書と手順書を作成する際にどのようなアプローチをとるかによって違いが発生します。文書化、ポリシー、ポリシー実施、仕様書、手順書に対する取り組み方は、会社によって異なります。 

詳細な SOP(以下のバリエーション#5を参照)を必要とする会社の場合は、viewLinc内にある「ツアー」を参照することをお勧めします。viewLincのツアーでは、viewLincの一般的なタスクについて画面に指示が表示されるため、このソフトウェアを初めて使用するユーザーでもタスクを完了させることができます。ツアーは、ソフトウェアを使用するたびに同じ方法でタスクを完了させることができるため、特定のタスクをときどきしか実施しない場合には特に便利です。このツアー機能を利用すると、SOPの作成、遵守、管理が確実にとても簡単になります。

以下に、viewLincのSOPを作成する方法のバリエーションをいくつか示します。
1. 保管仕様書は、ラベルに記載されている条件だけで、明確な文書ではない。
2. 保管仕様書は、冷蔵(-2~-8°C)、冷却(+8~+15°C)、室温(+15~+25°C)などのカテゴリ別に分類する。
3. 特定のチャンバーや部屋は、任意の温度カテゴリに分類する。
4. すべてのコンピュータシステムに適用できる汎用的なSOP(パスワード管理、監査証跡の審査、担当者、システムバックアップなど)をいくつか用意する。
5. モニタリングシステムの使用方法に関する詳細なSOPを用意する(これを行う、ここをクリック、このフィールドにこれを記入、[Save] をクリック、など)。
6. 特定のモニタリング目標に基づいた詳細なSOPも用意する(薬品 A を+2~+8°Cに維持して、温度が仕様の範囲外になって30分を過ぎたら逸脱として記録する、など)。実際のソフトウェアの使用方法にはあまり触れず、手順を示す代わりにユーザーマニュアルを参照するよう記載してもよい。

可能性として考えられる範囲は非常に広く、ヴァイサラがお客様のためにSOPのテンプレートを作成すれば役に立つという確証はありません。大部分のお客様は、手順書作成に関する各自の社内ポリシーに従う必要があり、ヴァイサラの推奨事項やテンプレートに従う余地があることはあまりありません。 

 

以下に、viewLinc ソフトウェアをサポートする文書を社内で作成する際の推奨事項を示します。
• 仕様書
o 許容される逸脱(最大温度と最大時間)やこれらの逸脱に対して期待される応答を含め、エリアタイプまたは単位タイプごとの許容温度範囲を記載します。また、人事異動のたびに改訂せずに済むように、責任者を名前ではなく役職で記載します。 

• 構成仕様書
o セキュリティプロファイル(ソフトウェアでは「グループ」という)の数やアラーム閾値テンプレートと通知テンプレートの数の制限設定を含む、viewLincの設定のほか、図や各デバイスの物理的位置を示す表、ソフトウェアの「ロケーション」のリンク先を記載します。システム内の順序や名前付けの規則の作成や維持に役立ちます。 

• モニタリング SOP
o モニタリングシステム内で実施する操作の概要をごく簡潔な文(アラームを受信確認する、ユーザーを作成する、など)で記載します。簡潔な文書は管理や順守が容易であり、詳しい手順が必要な場合は、viewLincのユーザーマニュアルやツアーを参照することができます。 

関連ウェブセミナー

当社のウェブセミナー「Audit-proof your GxP Environmental Monitoring System」(「GxP規制準拠に対応できる環境モニタリングシステムの構築」の中では、私が SOP の概要を説明しています。使用しているスライド(PDF)はこちらから入手できます。ウェブセミナー(日本語同時通訳付き)のご視聴はこちらから

環境モニタリングシステムの GxP 準拠に関する参考文献

SOP の例:

参考までに、いくつか例を挙げておきます。ただし、システムに関する文書を作成し、準拠および運用面の目標を満たしていることを確認する責任は各施設が負うものとします。

アラーム受信確認

SOP のこのセクションでは、CMS アラームのタイプや、各アラームに応答して受信確認する手順を具体的に詳しく説明しています。すべてのユーザーがアラームを受信する可能性がありますが、アラームの受信確認を行うことができるのは適切なアクセスレベルが割り当てられた特定のユーザーだけです。この施設のアラーム閾値の設定値は本 SOP の表 1 に従って設定されています。設定値を変更するには、「プロセス変更管理 SOP」に従って承認を受ける必要があります。

手順 
1. 施設部門や校正部門は、携帯電話(テキストメッセージ)や電子メールを通じてアラームの受信/受信確認を行う責任を負います。
2. viewLinc で [Alarms] または [Active Alarms] タブを選択します。アラームをアクティブにするを選択して受信確認します。必要に応じてアラームの場所を確認するには、「環境モニタリングロケーションマップ」を参照してください。 
3. 図1「アラーム調査フローチャート」に従います。フローチャートに基づいて、アラームの受信確認を続けます。施設部門や校正部門の技術者は、制限範囲外(OOL)の状態を確認した場合、施設エンジニアリング部門と管理者に通知する必要があります。 
4. 通信アラームの場合、サーバーとの接続が再確立されたら、システムチェックを実施する必要があります。施設エンジニアリング部門は、チャネル履歴レポートを調査し、データ消失がないことと、すべてのセンサ位置から温度、湿度、差圧の読み取り値が報告されていることを確認します。
5. 構成アラームの場合、サーバーとの接続を確認するために、システムチェックを実施する必要があります。施設エンジニアリング部門は、チャネル履歴レポートを調査し、データ消失がないことと、すべてのセンサ位置から温度、湿度、差圧の読み取り値が報告されていることを確認します。システム構成は、サイトバリデーションレポートの添付ファイル「CMS構成スプレッドシート」に照らして再確認します。

 

Eメール設定管理


a) メール設定は、システムを最初に構成した後はほとんど変更する必要がありません。ただし、メールに影響を及ぼすネットワークの変更を行った場合は、メール設定の更新が必要になることがあります。 
b) [Email Settings] ウィンドウには、[Options] > [System Configuration] > [Email Settings] からアクセスできます。
c) メール設定には、SMTP や POP3(必要な場合)などの標準メールプロトコル設定を使用します。 
d) 必要な変更を行います。変更後は、[Email Settings] の [Options] ドロップダウンメニューから [Test Email] オプションを選択して、設定をすぐにテストすることができます。  
e) すべての変更を保存してから、[Email Settings] ウィンドウを閉じます。
f) 注:メール設定の変更には、適切な施設変更管理プロセスが適用される場合があります。

最後に、The FDA Group のブログをご紹介します。このブログでは SOP の作成についてわかりやすく説明されています。 

 

ヴァイサラハードウェア – 担保された検証


ヴァイサラでは、製品に対して一連の環境検査や機械検査を課して、不具合や脆弱性のある箇所がないか確認しています。温度、振動、落下高さなどについて当社の保証内容よりも厳しい検査を実施し、ハードウェアが耐久性や信頼性、精度に優れていることを保証しています。この動画(ロングバージョン)では、シニアエンジニアの Fiki Jusuf が検査プロセスについて説明しています。

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