アプリケーションノート
環境モニタリングの最先端無線技術
Vaisala
ヴァイサラ viewLinc モニタリングシステムは、LoRa®* 技術に基づいた ヴァイサラ VaiNet ワイヤレスデバイスを使用して、環境条件を無線で追 跡します。改良されたチャープスペクトラム拡散(CSS)* 信号変調を使 用して、VaiNetは長距離間でも、また過酷かつ複雑で障害物のある環境 下においても、きわめて信頼性が高い安定した通信を提供します。長距離 ワイヤレス通信は信号の強度を回復させるリピーターの必要性をなくしま す。VaiNetのワイヤレスデータロガーとアクセスポイントは事前にプログ ラムされており、相互を確認し、通信を確立することができます。より少 ない装置と環境設定作業により、インストール作業は簡易化されており、 ユーザーがモニタリングシステムのネットワークの設定について未経験で もあっても設置することができるようになっています。
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ヴァイサラ VaiNet 無 線 技 術では 920MHz帯を使用することで環境モニ タリング用途でのより安定した信号を実 現しています。ワイヤレスデバイスを使っ た産業用モニタリングシステムの多くは、 複数のデータロガーからなるネットワー クの一部が故障したときのために、なん らかの冗長性を備えています。VaiNet においては、複数のネットワークアクセ スポイント全体に信号負荷を分散させる ことで冗長性を確保しています。最適な データパスは、アクセスポイントとデー タロガー間の無線信号の強度で決定さ れます。アクセスポイントは PoE(パワー オーバーイーサーネット)を使用してケーブ ルを減らし、UPS* へ簡単に接続できるよ うにしています。またPoEを使用できない 場所には、個別の電源設置が可能です。さ らに、RFL100 モデルではバッテリ駆動 型のワイヤレス仕様のため、停電時も確 実にモニタリングを継続できます。ワイヤ レスネットワークが接続を失った場合、各 ロガーが最大30日分のデータを保持で きるほか、イーサネットLANに障害が発 生した場合も、アクセスポイントに追加 のデータ保存場所が提供されます。ネッ トワークが復旧し次第、データロガーと アクセスポイントが自動的にバックフィ ルを行い、すべての履歴データがモニタ リングシステムソフトウェアに送信され るため、履歴データの欠損を防ぎます。
920MHz帯無線技術のメリットは、異 なる周波数を広範囲で使用するとき に発揮されるでしょう。トラフィックの 多い2.4GHz帯域の外で通信すること で、VaiNetの信号は干渉を受けにくくな るためです。920MHz帯無線通信のも う1つのメリットは、低周波数の信号が長 距離でも利用でき、優れた透過性を発 揮する点です。一般的な産業環境や倉庫 環境には、コンクリートの壁、ラック棚、 大型機器、液体製品、ホイルの束などの 障壁があり、低周波数の信号の方が透過 しやすい環境と言えます。特筆すべき点 は、長距離通信を可能とするVaiNetな ら、少ないネットワーク設備で大規模な 施設を効果的にカバーできる点です。デ ータ送信の信頼性が高いと送信の再試 行回数が減り、その結果、消費電力を節 約につながります。
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プライベートネットワーク全体 でデータを保護
VaiNetは、干渉、傍受、およびマルチパ スフェージング(反射)に対する耐性を 含む、スペクトラム拡散無線技術のあら ゆる利点を提供します。チャープ信号を 使用してRFエネルギーをより広い帯域に 拡散すると、信号レベルがバックグラウン ドノイズレベルを下回っていても、信頼性 の高い通信が可能になります。また、同じ 周波数で信号が重複することによる途絶 も減少します。
ワイヤレスデバイスの登録は、ヴァイサラ のモニタリングソフトウェア viewLinc エンタープライズサーバーによって実行さ れます。システムに新しいデータロガーが 追加すると、アクセスポイントによって自 動的に識別され、データロガーの情報が viewLincに送信されます。viewLincと の接続が確立すると、データロガーは常 時同期されます。これは近くのVaiNet ネットワークと重複する場合も同様です。
データロガーの計測値は、送信される前 に暗号化されます。まず、AP10 のアク セスポイントと viewLinc エンタープラ イズサーバーにおいて、データが正確に 受信されたことを検証します。データは 検証後、viewLincの安全なデータベー スに保存され、改ざんや紛失のないよう に保護されます。
特長
- VaiNet は、LoRa® 変調を利用し たヴァイサラ独自の無線プラット フォームです。サブ GHz ISM* 帯 域で動作することで、WLAN ア プリケーションへの信号の干渉を 防ぎます。
- 一般的な保管倉庫環境での屋内の 無線信号範囲は、約100m**です。
- VaiNet は、一般的な障害物に対す る高い透過性を持つ低周波信号に より、設置におけるデッドスポッ トのリスクを最小限に抑えます。
- VaiNet は、単純なネットワーク トポロジーを使用しているため、 リピーター、信号増幅器、または メッシュ型ネットワークデバイス が必要ありません。
- VaiNetの各アクセスポイントは、 最大32台のRFLシリーズのワイ ヤレスデータロガーをサポートし ます。
- VaiNet のデータ送信は暗号化によ り、傍受、データ改ざん、および 送信エラーから保護されています。
- データロガーは、事前の構成設定 を必要としない「プラグアンドプ レイ」方式を採用しています。
- ワイヤレスモニタリングは、特に トラフィックの多い場所でのケー ブルが損傷や、誤って外されたり するリスクをなくします。
- VaiNet はすぐに設置できるた め、各データロガーの高額なイー サネット接続を減らすことができ ます。
- 事前の実地調査は必要ありません が、大規模な設置(8 台を超える AP10)には同じチャネルのアク セスポイントを 50m 以上離すよ うなスペースを確保する計画が必 要です。
- データロガーの標準的なバッテリ 寿命は 12 か月以上あるため、年 1 回の校正までの期間のバッテリ交 換の必要性を低減します。
- バッテリ式モデルでは、アルカリ またはリチウム単 3 電池 2 本を使 用します。
- RFL シリーズのデータロガーで は、温度(最大 2 チャネル)、温度 と湿度、または CO2(温度と湿度あ り、またはなし)を計測できます。
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**条件により通信距離は変動します。
シンプルなトポロジー、簡単な展開
VaiNet技術は、マルチスター型ネットワー クトポロジー*として設計されています。ア クセスポイントはスター型の構成でソフ トウェアに接続され、各アクセスポイン トは複数のデータロガーをスター型ネッ トワークとしてサポートします。VaiNet の長距離性能により、通信が遮断されて もデータロガーからアクセスポイントへ の代替信号経路を使用できます。
設置にあたっては,パスワードやキーフ レーズを設定する必要はありません。 手動設定を必要とする多くのWi-Fiモ ニタリングシステムとは違い、VaiNet データロガーはVaiNetアクセスポイン トに接続するだけで動作します。認識 用のキーフレーズの設定は不要となり、 新しいVaiNetデータロガーは自動的 にviewLincソフトウェアに認識されま す。viewLinc 管理者による確認の後、シ ステムとデータロガーが改ざんから接続 を保護する一意のパスコードが発行され ます。これにより、複数のVaiNetシステ ムが重複する場合でもパスワードやキー フレーズの手動入力が不要となります。
VaiNet はシンプルなネットワーク構成に 停電時やネットワーク切断時も自己回復 する機能を備えた 、クリティカルなモニ タリングを実現するために設計されてい ます。また、制御された環境から欠損の ない履歴データを収集する必要がある 業界向けに、最先端のワイヤレスネット ワーク技術を使用し、信頼性、回復性、 安全性に優れたモニタリングシステムを 提供します。
用語集
- PoE:PoE(パワーオーバーイーサーネット)は、1本の ケーブルでワイヤレスアクセスポイントなどのデバイス にデータと電力の両方を供給できます。近くに電源コン セントが不要なほか、スイッチングハブでセントラルUPS を使用できることなどがPoEの利点として挙げられる。
- UPS:無停電電源装置(UPS)は電力を蓄積し、停電中に 電力を供給します。
- ISM 帯域:産業、科学および医療用(ISM)無線周波数 (電波スペクトルの一部)は、もともと電子レンジ、レー ダー、医療機器などの電気通信以外の用途のために確保さ れていた周波数を指します。
- チャープ拡散スペクトル(CSS):チャープ拡散スペクト ルは、複数の無線周波数で送信されるデータの構造化を可 能にするデジタル変調技術です。「チャープ」とは、拡散 スペクトラムの全帯域幅を使用して送信する無線信号の一 種を指し、周波数のあらゆる変化に対応可能です。「スペ クトラム」とは、使用される周波数の範囲です。「拡散」 とは、信号送信で従来から使用されている狭い周波数帯域 ではなく、より広い周波数帯域を使用して信号を送信する ことを指します。
- ネットワークトポロジーとは、ネットワークコンポーネン トの配置および接続形態を説明したものです。主に図を使 用してネットワークの物理的または論理的構造が表現され ます。ネットワークトポロジーでは、一般的にスター型、 リング型、メッシュ型などの型を使用し、ネットワークの 物理的性質とデバイスの接続の質について説明します。
- アクセスポイント(AP)は、一般的に、ネットワークの有 線部分と無線部分の間の通信を可能にするデバイス(ゲー トウェイとも呼ばれる)のことを指します。アクセスポイ ントを使用すると、異なるネットワーク規格を使用するデ バイス間の通信が可能になる。たとえば、VaiNetアクセス ポイントはviewLinc エンタープライズサーバー(イーサ ネットを使用)をRFLシリーズのデータロガー(VaiNet を使用)に接続しています。
- LoRa®は、低電力信号を使用することで、非常に長い距離 でも干渉を受けにくい通信を実現する独自の無線周波数変 調技術です。VaiNet ワイヤレスモニタリングデータロガー 向けに、初の LoRa® ネットワークを作るにあたり、ヴァ イサラにこの技術のライセンスが付与されました。この技 術は追加されたプロトコルレイヤーによってさらに強化さ れ、VaiNet の堅牢な無線方式による環境モニタリング、 レポート作成、アラームを実現しています。