除染プロセスを一変させる安定したH2O2蒸気の計測

生物学的安全キャビネットの除染
Netherlands
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産業計測
ライフサイエンス

Van Veldhuijzen-Boxmeer Disinfection Services 社は、1990年以降、滅菌および除染サービスを提供してきました。同社のサービスには、表面、空気中、および水中の微生物分析も含まれています。こうしたサービスは主に、バイオセーフティレベル3の研究所、動物飼育場、クリーンルーム、安全キャビネット空気処理装置などで利用されています。2018年にVan Veldhuijzen-Boxmeer社は、除染用途のため、ヴァイサラ HPP272 過酸化水素蒸気プローブを Indigo201 変換器とともに購入されました。

H2O2蒸気は、その毒性の低さとさまざまな用途における有効性の高さから、除染剤としての利用が増えています。過酸化水素は、水と酸素に分解されるために、ホルムアルデヒドや二酸化塩素などの従来の除染化学物質よりも環境に優しく人にとって安全です。

信頼できるセンサ  

Van Veldhuijzen社のシニアエンジニア兼テクニカルディレクターのJos van Daal氏は、次のように述べています。「当社はHPP272 センサを18か月間使用した後で、2台目のヴァイサラのセンサプローブを購入しました。プローブを幅広く使用してみましたが、その性能に非常に満足しています。

当社ではヴァイサラのプローブを導入する前、別のセンサを使用していましたが、計測できるのは H2O2蒸気のみで、水分は計測できませんでした。以前のセンサでは H2O2蒸気の濃度が高い場合があったり、そうでない場合があったりしました。空気中の湿度が関係していたのでしょう。水分も計測できるヴァイサラのプローブにより、特に湿度が高い場合に、プロセスをもっと簡単に管理できるようになりました。湿度が最大70~80%の条件で作業することも珍しくないので、HPP272に出会えたことは本当によかったです。」  

Van Veldhuijzen社は、安全キャビネットを使用するバイオセーフティレベル3(BSL-3)の研究所で除染を行うことがよくあります。BSL-3の研究所は、一般的に、大学、研究病院、生産施設などにおける病原菌の研究に使用されます。これらの研究所は、簡単に除染を行えるようにできています。封じ込め対策の一環として窓は密閉され、HVACシステムにより作業エリアの空気の流れが感染性病原体を取り扱うエリアから分離されています。また、空気をフィルターでろ過してから再循環させるため、高性能粒子捕集エアフィルター(HEPA フィルター)を使用して直径0.3µmの粒子を99.97%捕集しています。

「生物学的安全キャビネットの空気処理装置のHEPAフィルターは、湿度が高いと詰まってしまう危険性があります」とvan Daal氏は述べます。「ヴァイサラ HPP272 プローブは、それを防止するのに役立ちます。除染プロセスの前に、プローブを使用して湿度を事前に計測します。計測の結果、湿度が60~70%を超えているようであれば、除染の前にドライヤーを入れます。そのエリアの湿度を把握することで、HEPA フィルターを損傷しないで済みます。

当社では、プロセスを実行する前にケミカルインジケータを入れ、指示薬の色が変化するまで待ちます。バリデーションの際には、ケミカルインジケータとバイオロジカルインジケータの両方を利用します。HPP272を使用するようになってから、プロセス時間が大幅に短縮され、お客様の作業中断時間も短縮されました。」 

プロセスを完了し、バリデーションを終えるまで、業務は再開できません。そのため除染時間を短縮することは重要です。「ヴァイサラのプローブを導入する前は、バリデーション結果に満足できないことがあり、プロセスをやり直さなければならないことがありました。研究所を使用中となるため、プロセスのやり直しはコストの増加につながります」とvan Daal氏は述べています。

湿度がH2O2濃度に与える影響 

「当社では、過酸化水素蒸気発生器を使用しています。安全キャビネットで発生器を使用すると、空気を乾燥させることができます。HPP272を導入した後、ドライヤーを使用せずにキャビネットで試験を行いました。プローブに示された相対水分飽和度が90%になると、H2O2 濃度が急激に下がりました。これは、相対湿度が相対水分飽和度に与える影響を示しています。」とvan Daal氏は述べます。相対水分飽和度は、水蒸気と H2O2 蒸気の混合気体の数値を示す、ユニークなパラメータです。このパラメータにより、オペレーターは凝縮が起きるタイミングを確実に予測することができます。

重要なのは湿度

「これらのグラフは、コンディショニングサイクルを2.0g/分で30分間行い、除染サイクルを1.0g/分で40分間行った場合の安全キャビネットの試験結果を示しています。使用した過酸化水素蒸気発生器は、サイクル中に空気を乾燥させることができます。最初はドライヤーを使用しませんでした。[図から] わかるように、相対水分飽和度が約90%になるまで濃度は上昇し、そして、相対湿度が30%でも濃度が低下しはじめました。その後、ドライヤーを作動させると、濃度が上昇しました。これを数回繰り返しました。」

Disinfection Biosafety cabinets

「このグラフは、プロセス中に相対水分飽和度と相対湿度の両方を知ることがいかに重要であるかを示しています。除染装置にHEPA フィルターが取り付けられている場合は、特にそうです。一般的に、部屋が大きい場合、湿度はそれほど問題にはなりません。エリアが小さくなればなるほど、湿度を制御することが重要になります。フィルターが取り付けられた部屋を除染する場合は、迅速なプロセスのために、1,500ppmまたは1,600ppmの高い濃度が必要になるかもしれません。ですが、湿度がどれくらいかがわからないと、フィルターが詰まる危険性があります。」

安定性、柔軟性、接続性

「HPP272 プローブは安定性に優れていることがわかりました。2台目のヴァイサラの過酸化水素プローブを購入したときに、それまで使用していたHPP272と比較してみたことがあります。両方のプローブとも同じ値を示したので、最初のプローブが安定していたことがわかりました」とvan Daal氏は言います。

「当社では、低電力デジタル無線信号用に設計された標準のワイヤレステクノロジーにより、メッシュ型ネットワークを介してラップトップ上のインターフェースにデータを取り込んでいます。このプローブには、バッテリとマイクロプロセッサー、小型の無線機を付加して使用しているため、研究所やガス発生器から離れた場所で結果を観察することができます。 

インラインデータをリモートで確認することが多いため、ワイヤレスシステムを利用しています。HPP272 プローブからデータをワイヤレスで取得するために、使用ユニットにリクエストを送信するプログラムをラップトップに搭載しています。除染対象のエリア内には、Xbee 無線モジュール、マイクロプロセッサー、RS232/RS485 シリアルインターフェース、バッテリ、およびHPP272 プローブで構成されたユニットを設置しています。

また、チャンバーの外側にもXBee、マイクロプロセッサー、アナログデジタル(ADC)変換器、バッテリ、および低濃度ガス感知器で構成された安全ユニットを設置しています。チャンバー内のユニットにより、HPP272からデータが読み取られ、ラップトップに送信されます。Xbeeデバイスの範囲は、環境内の信号障害物によって異なります。」

Van Veldhuijzen-Boxmeer Services 社の詳細については、同社ウェブサイトをご覧ください。

ヴァイサラの過酸化水素蒸気プローブの詳細をご覧ください。

業界専門家であるPiritta Maunu氏とSanna Lehtinen氏によるこの 1 時間のウェブセミナーでは、過酸化水素蒸気による除染における湿度計測の重要な点や、H2O2 プロセスにおける相対水分飽和度計測の役割と相対湿度との関連性を理解することの重要性について説明します。    

アジェンダ

  • 過酸化水素蒸気による除染中の重要な計測
  • コンテナや筐体の除染時の湿度計測におけるよくある落とし穴
  • 相対水分飽和度と相対湿度との重要な相違点
  • ヴァイサラ PEROXCAP® 技術の独自機能
  • 質疑応答

このウェブセミナーは以下のような方向けです。

  • OEM製造 
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  • バリデーションおよび品質担当者
  • 除染サービスプロバイダー
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