過酸化水素蒸気による病院や医療施設の保護

VHP センサープローブによる病院の除染
Poland
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産業計測
ライフサイエンス
「Iacobus」は、「かかとをつかまれる」を意味するヘブライ語のギリシャ語の変異形ですが、元の定義は、「神が守ってくれますように」というアラム語の表現に由来すると考えられています。2014年にポーランドのウッチで創設されたIacobus社は、除染のサービスと機器を提供しています。Iacobus社は医療機器のサービスと販売も行っており、Cleamix社や機器洗浄機のKen社、TBT Medical社、MDG Engineering社、CASPR Group社の製品の正規販売店です。

主任サービスエンジニアのPiotr Węgier氏は、創設以来Iacobus社に勤務しています。「当社では、消毒や滅菌、除染のための機器の販売と保守を行っています」と、Węgier氏は言います。「滅菌と除染のための医療機器や医療装置のサービスの経験を持つ 3 名のエンジニアが事業を開始しました。現在、当社が主に焦点を当てているのは、医療、医薬品の製造、食品の生産です。」
 
Iacobus社では病室や手術室といった環境で、病院の除染を行うことがよくあります。病床は常に需要があるため、病室の除染に費やされる時間は非常に重要です。
 
「病床は常時必要とされているため、病院での目標は常にできる限り素早く除染を行うことです」と、Węgier氏は続けます。「理想としては、過酸化水素蒸気で完全な除染を行いたいのですが、時間が非常に重要であるため、その他の除染方法を使用することが一般的です。当社では、過酸化水素蒸気によるプロセスが非常に有効である理由を施設管理者に伝えて、最良の方法を選択することができるように努めています。市場には、エアロゾル消毒やオゾン発生器などを提供する除染サービスプロバイダーがいます。残念ながら、これらの方法に関するカタログでは、実際の効果が過大に評価されている可能性があります。」
 
Iacobus社は定期的に除染を行う組織に機器を提供しているため、vH2O2による除染装置の使用に関するトレーニングも提供しています。
 
「特に過酸化水素蒸気のプロセスでは、使用される方法が重要です」とWęgier氏は語ります。「過酸化水素蒸気では、高濃度の過酸化水素溶液が使用されます。この液体はガスの形態に変換されます。過酸化水素を気化させるのに必要な熱は、水を気化させるのに必要な熱よりも大きくなります。過酸化水素蒸気を含む空気はより早く凝縮します。生成される凝縮液は、気化したH2O2蒸気よりもppmが高くなる可能性があります。表面に損傷を与える場合があるため、注意が必要です。」
 
「これがヴァイサラ HPP270センサを使用して、vH2O2による除染を行う際の主な利点の1つです。リアルタイムの情報がセンサから提供されるため、凝縮点が近づく時がわかります。」
- Piotr Węgier氏、Iacobus社
Iacobus社が使用する蒸気発生器の1つがCleamix社製ポータブル蒸気発生器です。この発生器は、ヴァイサラのHPP270 過酸化水素蒸気プローブを備えています。このプローブは、過酸化水素蒸気、温度、湿度(相対水分飽和度と相対湿度)、露点、蒸気圧など、さまざまなパラメータを計測することができます。HPP270プローブは、蒸気発生器や蒸気制御装置と統合することができます。
 
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hydrogen peroxide vapor sensor VHP

「私はヴァイサラのウェブセミナーからCleamix社のポータブル発生器について学びました」と、Węgier氏は言います。「当社では、そのサイズとデザインからこの製品に関心を抱いていました。スーツケースの大きさなのです。お客様からの長年にわたるフィードバックによると、多くの場合、蒸気発生器のサイズがプロセスの最大の欠点でした。除染のために機械と必要なすべての機器を保管場所から対象エリアに移動するには時間がかかります。

Cleamix社製の蒸気発生器を持ち運べることは大きなメリットであり、その出力は当社のほとんどの用途に十分であることがわかりました。多くの場合、除染されるエリアは100 m2未満です。他のセンサの試験や校正もできるかもしれなかったため、HPP270センサにも非常に興味を持っていました。」

 
病室に加えて、病院では、診察室や手術室も除染されます。診察室や手術室は、多くの場合、傷口や体液のためにリスクが高くなります。今日、多剤耐性菌(MDRO)に対する世界的な懸念が高まっており、多剤耐性菌の多くは、定期的なターミナルクリーニングなど、その他の除染を行っても生き残る可能性があります。ターミナルクリーニングに加えて過酸化水素蒸気による除染を行うことで、クロスコンタミネーション(交差汚染)のリスクを大幅に減らすことができます。
 
ただし、手術室は、蒸気燻蒸を伴う除染プロセスで課題を抱えている可能性があります。「手術室では、換気装置をオフにすることができないという問題が発生することがあります」と、Węgier氏は述べます。「ある事例では、エアロゾル装置で定期的に消毒されていた手術室がありました。当社は、そのエアロゾル装置が故障したときに、vH2O2による除染を行うように呼び出されました。プロセスの途中で、H2O2蒸気が換気装置によって手術室から排出されていることに気づきました。」
 
「この発見から、空気中のエアロゾル消毒剤の多くが換気によって手術室から抜け出ていた可能性があるため、以前は手術室が適切に除染されていなかった場合があることがわかりました。リアルタイムの計測が可能なヴァイサラ HPP270 センサによって、除染中の変化がわかり、問題を特定することができました。」
 
コロナウイルス感染症が流行することで、病院内の患者が新型コロナウイルスに感染するのを防ぐために、消毒や除染のより厳格な手順が開始されました。コロナウイルス感染症の流行に加えて、他の病原菌の抗菌剤耐性が高まるにつれ、簡素で有効な除染が公共の安全にとって重要になりつつあります。リアルタイムのセンサを備えた過酸化水素蒸気装置なら、人の健康が最も危険にさらされている公共エリアを効率的に保護することができます。
 
「コロナウイルス感染症の流行が始まって以来、当社では、お客様が過酸化水素蒸気装置を毎日や1日に数回も使用しているのを目の当たりにしてきました」と、Węgier氏は語ります。「時間は常に除染の大きな課題でしたが、今では、有効かつ迅速に除染することがさらに重要になっています。」

「今年は、病院内でクラスターが発生し、病棟内のすべての患者がコロナウイルスに対して陽性反応を示したことがありました。このような場合、病棟全体をできるだけ早く除染する必要がありました。ヴァイサラのプローブを備えたポータブル蒸気発生器を使用することで、これらの病棟を職員と患者にとってより安全にすることができました。」
 
 

スマートなvH2O2センサ技術によるモニタリングと管理

このウェブセミナー(英語のみ)では、HPP270シリーズのプローブとIndigo変換器に採用されているヴァイサラのPEROXCAP®技術を使用して、vH2O2プロセスのモニタリングと管理の両方を実現する方法が説明されています。
時間と費用がかかる可能性のある望ましくない状態を防ぎながら、有効なvH2O2除染を実現するために不可欠なさまざまな変数が検討されます。
 

3項目の計測に対応したH2O2除染プロセス用 PEROXCAP®センサ

高湿度という条件でも、除染プロセスのバリデーションを簡単に行えるようになりました。ヴァイサラ PEROXCAP® HPP272プローブは、除染プロセスのために H2O2蒸気を使用するOEM企業やサービスプロバイダー、エンドユーザー向けに開発された、3項目の計測に対応したインテリジェントなプローブです。
 
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