火星に水 火星、太陽系の第4惑星 地球から約5,460万km離れた場所に位置する, Published: Jun 1, 2017 イノベーション・インスピレーション 持続可能性 NASAの火星探査ローバー「キュリオシティ」は、火星表面に液体塩水が存在した証拠を発見 2015年5月、火星に液体の水が存在したことを示す初の痕跡が発表されました。この発見は火星探査ローバー「キュリオシティ」による大気観測に基づくものです。火星探査ローバーにはヴァイサラの圧力センサ・湿度センサ技術が搭載されており、現在も火星で作業を続けています。 NASAの火星探査ローバー「キュリオシティ」は、2年以上にわたり火星赤道近くにあるゲール・クレーター周辺の表面計測を実施しています。この探査ローバーは、火星大気の計測用に設計されたフィンランド気象研究所(以下、FMI)が開発した気圧と湿度の計測器を備えています。Rover Environmental Monitoring Station(REMS)計測器群だけでなく、Sample Analysis at Mars(SAM)やDynamic Albedo of Neutrons(DAN)計測器でも、夜間に気温が0℃を下回っても火星表面の上層部にある過塩素酸塩は液体の塩水を形成するのに十分な水分を吸収することができるという判断を可能にしました。 湿度装置REMS-Hと気圧装置REMS-Pは、ヴァイサラのセンサ部品に基づいてFMIによって開発されました。ヴァイサラは探査ローバーに搭載する装置として、ヴァイサラ HUMICAP® 湿度センサ(標準仕様)とヴァイサラ BAROCAP® 圧力センサ(特別仕様)をFMIに提供しました。これらのセンサ技術は、長期安定性と精度に加え、粉塵、化学物質や過酷な環境条件に対する耐性があり、このような厳しい要件の用途に特に適しています。 火星の謎を解き明かす 地球に比べて乾燥した惑星である火星ですが、過去には、大気中に少量の水分(液状でない)が観測されています。夜間の火星表面温度は-135~-70°Cですが、日中、赤道に沿った火星の上部表面層の温度は0°Cを超えます。火星大気の温度と低い気圧から考慮すると、火星に液状の水は存在しないと推測されてきました。 しかし、NASAのマーズ・サイエンス・ラボラトリー(MSL)は、ゲール・クレーターで実施した観測、特にFMIとヴァイサラの技術による具体的な計測値、それら全てを組み合わせた数値モデルが別の結論を証明しました。 FMIの研究責任者であるAri-Matti Harri氏によると、「表面層から数センチメートルの深さに、火星大気から水分を吸収できる十分な量の過塩素酸塩が存在しています。その結果、水膜温度が氷点下以下であるという事実にもかかわらず、薄い膜状の塩水溶液(または塩分を含む液体だまり)が夜間に形成されるのです。日中に表面層の温度が上昇することで、夜間に堆積した液体を気体として蒸発させる現象を引き起こします。これらの調査結果からは、火星に有機化合物が存在する可能性を断定できないということに注意する必要があります。」とのことです。しかしながら、ゲール・クレーターに沿った観測領域は、火星表面全体の状態を代表すると推定できます。 火星は大気調査にとって究極の研究所 惑星の回転軸の傾き(火星は25°、地球は23.5°)と同様、1日の長さを表す自転周期(火星の1日は24時間37分)が非常に近いため、火星と地球の大気は類似の動力学を有しています。乾燥した火星の大気は、地球の大気の単純化実験モデルとして見ることができます。「単純化された、地球に似た動力学を持つ大気を研究することにより、私たちは水系、植生、そして高湿度の影響により地球上で見逃している可能性のある事実について学べる可能性があります。」と、Ari-Matti Harri氏は締めくくっています。 NASAの「follow the water(水を追う)」探査戦略は、現在の火星に液体の水が断続的に流れているという、これまでで最も有力な証拠をもたらしています。最新の発見については、http://go.nasa.gov/1KOrJsvをご覧ください。
地球外生命体は存在するのか ヴァイサラは数十年にわたって宇宙に携わってきました。 ヴァイサラの技術は間もなく、フィンランド気象研究所との連携を通じて、また NASA の火星探査計画の新しい火星探査ローバー「パーサビアランス(Perseverance)」への導入を通じて、再び火星に着陸するでしょう。 高度な技術、イノベーション、そして世界を探検する好奇心が、設立当初からのヴァイサラの特長です。 ヴァイサラと宇宙探査に参加しましょう! 宇宙探査とヴァイサラ