Indigo500 シリーズ変換器による|麦芽製造プロセス管理の改善 Sweden Published: May 25, 2020 産業製造・プロセス 産業計測 Viking Maltは、高品質の麦芽製品の世界有数のサプライヤーです。同社はスウェーデンのハルムスタードにある施設で、麦芽製造プロセスにおいて継続的に湿度をモニタリングする利点を調査しました。3か月間にわたって、ヴァイサラのIndigo520 変換器を工場の制御システムに統合した試用期間後に、技術マネージャーのTony Öblom氏は次のように語っています。「湿度データにリアルタイムにアクセスできることで、麦芽製造プロセスをより厳密に管理できるようになりました。これにより品質を改善すると同時に、エネルギーを節約し、利益率を向上することができました。」 背景 麦芽は、ビールやウイスキー、多くのパン製品の製造に欠かせない原材料の1つです。Viking Maltの本社はフィンランドにあり、同社のグループはフィンランド、デンマーク、スウェーデン、リトアニア、ポーランド(2箇所)の6つの麦芽製造所で、1年間に合計600,000トン以上の麦芽を製造しています。 麦芽用の穀物の多くは大麦ですが、小麦、ライ麦、米、トウモロコシを使用する場合もあります。Viking Maltの麦芽製造所は、北ヨーロッパにあることで多くのメリットを享受しています。たとえば、契約農場から送られた大麦は品質が高く、麦芽製造用として優れた特徴を備えています。また、冬が寒く害虫や植物病が死滅し、夏季には白夜の太陽により作物が早く成長します。そのため、必要な殺虫剤が減ります。 麦芽製造プロセス 麦芽製造では、発芽の開始、管理、休止があります。これを行うには、製造所内の水分、温度、場合によっては二酸化炭素を注意深く、正確に管理する必要があります。 美味しいビールかどうかは個人の好みによりますが、風味などの特徴の一貫性を維持するには、品質の高い麦芽を使用しなければなりません。Öblom氏は次のように話しています。「Viking Maltでは、均一で高品質の麦芽を製造することに多くの労力を注いでいます。そのために、原材料を注意深く厳選、管理し、可能な限り慎重かつ正確な製造のモニタリングと制御を行っています。」 麦芽製造プロセスには主な段階が3つあり、原材料の特徴と製造する麦芽の仕様に応じて合計で7~10日かかります。3つの段階ではそれぞれ以下の作業が行われます。 浸麦 – 穀物を洗浄し、浸麦用のタンクで水分含量を高めて発芽を促進します。浸麦では、通常、湿度の高い期間と低い期間を組み合わせます。 発芽 – 種子が発芽すると、酵素が活性化します。たとえば、アミラーゼが種子に含まれるデンプン質を発酵性の糖質に変え、プロテアーゼがタンパク質を分解します。 焙燥 – プロセスの最終段階です。炉で「緑麦芽」を乾燥させ、加熱することで、必要な仕様に調整します。 通常、麦芽製造プロセスの開始時には炉内の湿度は60~65°Cで100%、最終的な焙燥時には80~95°Cで目標湿度は4%です。 モニタリングの重要性 65種類の麦芽を製造しているViking Maltは、供給原料と製造プロセスを非常に詳細にモニタリングすることで、水分、色、風味、タンパク質、酵素の成分などの特徴について、仕様への準拠と一貫性を確保しています。製造品から頻繁にサンプルを採取し、現場の研究所でテストしています。「結果が出るまでに6時間ほどかかる場合もあります」と、Öblom氏は説明します。「一部のパラメータではそれで問題ありませんが、プロセス管理を最適化するにはリアルタイムのデータが必要です。そのため、何か解決策がないか調査を行ったところ、フィンランドの同僚がIndigo520 変換器の試用で非常によい結果を出していることを知りました。」 「継続的な湿度データを得ることで、麦芽製造プロセスが完了した正確なタイミングを判断できます。これは、乾燥不足や必要以上の乾燥を防ぐことで製品品質の確保に役立つうえ、コスト削減にも役立ちます。必要以上の乾燥処理はエネルギーの浪費と最終製品のコスト増加につながるからです。」 Viking Maltの2019年のCSR報告書によれば、「エネルギー効率は、工場の設計、投資、製造、物流、エネルギー製品とサービスの調達に関して計画を立てる際の指針の1つ」とあります。Indigo520 変換器の導入は、この目標を達成するのに役立つとともに、もう1つの「特に情報通信技術分野におけるイノベーションのスピードを高める」ことを目指すという目標の達成にも貢献します。 また、Indigo520 変換器による継続的で信頼性の高い計測は、校正やメンテナンス業務により中断することなく、製造プロセスの全記録を提供することができます。 モニタリング技術 Indigo520 変換器は、高湿環境用に特別に設計された、加熱技術を利用するHMP7 湿度プローブからデータを収集します。TMP1 温度プローブと組み合わせたシステムで、最終的な焙燥炉で安定性と信頼性の高い相対湿度計測を可能にします。 Indigo520は、湿度、温度、露点温度、二酸化炭素、過酸化水素蒸気、およびオイル内水分計測用といったIndigo対応スマートプローブと互換性があります。また、2つの取り外し可能な計測プローブを同時に利用することで、同じパラメータや異なるパラメータを同時に計測することもできます。本製品は、IP66およびNEMA 4 規格の堅牢な金属製筐体と強化ガラス製のタッチパネルディスプレイを備えています。このディスプレイにより、現場のスタッフはリアルタイムのデータに迅速かつ簡単にアクセスできます。変換器を制御システムに接続することで、Öblom氏のチームは24 時間いつでもどこでも計測値を確認できるのです。 導入事例の全文は以下からダウンロードください。
HMP7 湿度温度プローブ ヴァイサラ HUMICAP® HMP7 湿度温度プローブは、計測性能や多くの化学物質への耐性が重要となる、乾燥室やテストチャンバー、空調用空気、その他の環境試験器や気象観測機器などの常時高湿度または急速な湿度変化が伴う用途向けに設計されています。
Indigo500シリーズ 変換器 ヴァイサラIndigo500シリーズ 変換器は、ヴァイサラIndigoシリーズのスタンドアロン型スマートプローブ用のホストデバイスです。Indigo500シリーズには、多機能のIndigo520 変換器と、基本機能を備えたIndigo510 変換器があります。