アプリケーションノート 本質安全防爆計測機器を使った、 危険な場所でのリスク最小化 本質安全防爆（IS）は、危険な場所での電気機器に起因する爆発の防止に 関する概念です。危険な場所とは、爆発する可能性のあるガスまたは微粉 末の混合物が存在すると想定される場所のことです。電気機器の動作中に 火花や高温が発生した場合、これらの混合物が発火する可能性がありま す。本質安全防爆システムでは、たとえ故障状態が発生しても、爆発の可 能性のある混合ガスを発火させるレベルのエネルギーを持たないように、 すべての機器が設計および設置されています。 産業製造・プロセス 爆発を防ぐもう1つの方法は、「防爆」ハ ウジング内に電気機器を設置することで す。こうしたハウジングは、ハウジング内 に存在する可能性のある可燃性ガスの発 火に耐えることができ、危険環境に炎が 広がるのを防ぎます。防爆システムは、 大きく、重く、高コストである場合があり ます。本質安全防爆システムは、防爆シ ステムに比べてさまざまな利点がありま す。ただし、本質安全防爆は、必要な電力 の少ない低電圧機器（計測機器、熱電対 など）でのみ実現できます。高電圧・高 電力機器は、その性質上、本質的に安全 とはいいがたいでしょう。本質安全防爆システムの要素本質安全防爆（IS）システムには、危険場 所に配置されたIS機器、非危険エリアに 配置された電力制限機器（ISバリアまた はガルバニック絶縁）および関連する配 線が含まれます。IS機器は通常、直流低電圧で動作し、消 費電力は1W未満です。メーカーが機器 のIS認証を取得するには、設計と装置自 体が適切な規制当局（FM、CSA、PTB など）によって検査および承認される必 要があります。IS機器が正しく取り付け られ、接続されていれば、危険場所での 発火を引き起こす可能性のある火花や熱 は発生しません。IS機器は、本質安全防爆バリアやガルバ ニック絶縁などの電力制限デバイスに常 に接続しておく必要があります。これら のバリアは、安全な非爆発性の環境に 設置され、電源とIS機器の間に配置され ます。これらのバリアの目的は、危険場所 にあるIS機器が利用できる電圧と電流を 制限することです。配線は、回路の電気的特性を変える可 能性があるため、システム全体の一部と 見なします。ISシステムの配線は、規制 当局が策定した基準に従って行う必要が あります。 本質安全防爆用途 危険物保管施設 自動車塗装ブース ガスタービンの吸気モニタリング 有機被膜製造 スプレー仕上げエリア 石油調剤エリア 溶媒抽出プラント 都市ガスプラントおよび施設 航空機格納庫 燃料補給エリア 石油精製施設 設置ガイドライン IS機器を承認する規制機関ごとに 固有の設置ガイドラインが存在し ます。 ガイドラインにより、適切なISバ リアやガルバニック絶縁を指定 および選択することができます。 電源と信号線が終端する機器の電 気的特性を考慮してください。 IS機器を正しく動作させるには、 最大負荷を計算し、回路全体のイ ンピーダンスによって電圧が最小 しきい値未満に低下しないように する必要があります。 ISバリアまたはガルバニック絶縁 を利用する際、それぞれのメー カーに問い合わせることをおすす めします。 本質安全防爆要素を含む設定 ISシステムの要素は、さまざまな方法で 設定できます。たとえば、ISバリアは、リ モートセンサを備えた湿度変換器などの 計測機器内に組み込むことができます。 この計測機器の電子回路部は安全な環境 に設置し、リモートプローブは危険場所に 設置します。このようなシステムには、IS の設置に必要なすべての要素が含まれ ているため、ユーザーがISバリアを指定 する必要がありません。ただし、計測機 器の電子回路部を危険な場所に取り付 けることができないため、設置の柔軟性 が大幅に制限されます。または、ISバリアを計測機器から分離す ることです。ヴァイサラのIS湿度計測器 はこの方法で設計されています。この場 合、計測機器全体とプローブを危険環境 内のどこにでも取り付けることができま す。電源線と信号線は、安全な環境にあ るISバリアで終端します。これにより、 設置の柔軟性が高まりますが、ユーザー が設置に適したバリアを指定して入手す ることも重要です。 ヴァイサラの本質安全湿度変換器の詳
